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活動紹介

福祉の現場と企業が生み出す良質のケアと福祉用具 ~福祉用具研究会の取り組み~

  今回は、京都市伏見区にある「高齢者福祉総合施設ももやま」で開催されている「福祉用具研究会」の様子を取材させていただきました。

スタートは職員の勉強会から
 福祉用具研究会のはじまりは15年ほど前にさかのぼります。当時は、急速に進行する高齢化に対応すべく「新・ゴールドプラン」が策定され、2000年4月より導入される「介護保険制度」のための体制整備をにらんだ取り組みが展開されている頃です。
 研究会は、当初、特別養護老人ホーム 健光園で勤務する職員と高齢生活研究所 代表 浜田きよ子 氏との自主的な勉強会からスタートしました。施設の現場では、介護スタッフの努力による懸命のケアが展開される中で、利用者に合わせて福祉用具を適切に選び使用すれば、よりよいケアができ、また介護スタッフにかかる負担を軽減できるのではとの想いが発端です。その後、浜田氏のつながりにより、福祉用具を製造・販売している企業のスタッフも参加するようになり、また健光園の職員だけでなく、他の高齢者福祉施設職員の参加も得てオープンな研究会として発展していきます。

HP1.jpg具体的事例をもとに解決を目指す
 現在、交流会は2000年9月にオープンした「高齢者福祉総合施設ももやま」に場所を移し、毎月1回、20名前後が集まっています。メンバーは、京都府内をはじめ、滋賀県や大阪府など近畿府県からも集まり、中には九州から参加する企業スタッフもいます。福祉現場の職員は、入所施設の介護職員・ケアマネジャーだけでなく、地域包括支援センターやヘルパーステーションなどの在宅福祉サービスの職員、理学療法士、作業療法士、看護師など、幅広いメンバーが参加しているのが特徴です。研究会は、福祉現場で働く職員と、福祉用具を製造・販売する企業のスタッフを、双方の知識・ノウハウを持つ浜田氏がコーディネートする形式で進められます。研究会では、困難事例をもとに、メンバー全員で具体的な対応策を検討し、その対応策は次回までに実際に試行されます。こうした試行錯誤をしながら半年から1年をかけて課題解決を目指しています。年間3件程度のケースを取り扱い、これまでに20件を超えるケースが実際に課題解決につながっています。
 取材に伺った際には、臀(でん)部に褥(じょく)そうが発生している利用者のケースが報告されていました。研究会で検討された対応策をもとに、利用されている車いすの改善や補助食品の摂取などを試みる中で、課題となっていた褥(じょく)そうが改善されました。こうした具体的な課題解決による「利用者満足」と「支援者の達成感」が研究会を継続していく原動力となっているように思われました。

ケアの向上と福祉用具開発の相乗効果HP2.jpg
 研究会の議論は、福祉現場でのケアの向上だけでなく、福祉用具の改善・商品化にもつながっています。写真は研究会の意見も取り入れて改良を重ねられた「ソ・フィットパンツ」です。開発途中の試作品の段階から施設利用者が実際に使用したり、研究会のメンバーが実際に使用したりする中で、パンツの構造や締め付け具合、使用する素材などについて具体的な提案が出されました。このほかにも、高齢者施設で使用するテーブルなど、研究会での情報交換が商品化につながっています。

研究会の魅力は双方に有益(win-win)であること
 研究会は企業、福祉現場それぞれにとって魅力的な場となっています。まず、企業にとっては、福祉用具を実際に使用する際の利用者や介助者の動きを知ることで、より使いやすい、使い心地のよい商品づくりのヒントが得られます。また、販売する段階でも商品の売り出し方や具体的な使用方法などの提案を受けられる場となっています。
 福祉現場にとっては、幅広い福祉用具の知識・情報が得られるとともに、福祉用具の適切な選び方・使い方を学ぶ場となっており、そのことが、利用者の生活全般を念頭に置いたよりよいケアの提供にもつながっています。そのほか、福祉現場で働く者同士のつながりが、仕事上の悩みの解消やモチベーションの向上にもつながっています。
 
きょうと福祉パートナー事業からのコメント
 現在、特に高齢者福祉分野では、福祉用具が数多く開発・製造されており、それらを取り扱う企業からモニターの依頼を受けることは、それほど珍しいことではありません。しかし、その多くは開発の段階に積極的に関わるというものではなく、使用した際の感想、意見を提供するといった段階にとどまっています。今回取り上げた「福祉用具研究会」は、福祉現場と企業が互いの信頼関係の中でそれぞれの専門領域からの視点で提案や知恵を出し合い、福祉現場ではケアの向上に、企業は製品の改善につなげている点が大きな特徴といえるでしょう。きょうと福祉パートナー事業では、こうした企業と福祉それぞれの立場からお互いの新たな価値を生み出す協働の場づくりを積極的に推進したいと考えています。

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