「公文式」のノウハウを活かして認知症の改善・予防へ
日本公文教育研究会は、全国に1万7,400箇所の公文式教室(算数・数学、英語、国語)をフランチャイズ展開している企業です。学習者は、幼児から社会人までと幅広く、0~3歳の乳幼児教育、障害児教育などにも取り組まれています。
日本公文教育研究会の子会社である株式会社公文学習療法センターでは、「公文式」で培ったノウハウを活かして、認知症高齢者を対象に症状の進行予防や改善を目的とした「くもん学習療法」や、健康な高齢者を対象に認知症予防を目的とした「くもん脳の健康教室」を展開されています。
学習療法は、音読と計算を中心とした紙の教材(学習プリント)を使って、学習者と支援者がコミュニケーションをとりながら行う学習で、教材は、「読み・書き」「計算」の学習プリントと数字盤の3種類。教材は学習者に合わせて毎回100点が取れるように難易度が設定されます。料金は学習プリント代のみ
とし、支援者の研修や開始後の学習療法センタースタッフによる支援は無料で提供されています。特別養護老人ホームやデイサービスセンターなど、全国の高齢者福祉施設で導入されています。京都府内では、8施設(平成20年11月現在)で導入されており、今回は京丹後市にある社会福祉法人みねやま福祉会の「グループホームかえで」にお邪魔し、学習療法の様子を取材させていただきました。
支援者と一緒に楽しく学習
学習療法は、支援者1名に対し学習者2名(状況によっては1名)で実施します。この日の学習者は90歳代の女性。支援者である施設職員さんと一緒に、まずは「読み・書き」のプリントに取り組みます。例文を一通り音読し、裏面の穴埋め問題へ。この日は、琵琶湖が誕生した頃は現在の三重県付近にあったことや山を登ると気温がさがることなどが例文になっていました。
「読み・書き」に続いては、「計算」です。足し算、引き算の問題がびっしり並んでいます。問題を声に出しながら、次々と解いていきます。わずか3分程度で解き終え、もちろん100点満点でした。
最後は数字盤です。1から50までの円形のコマをシート上の同じ数字のところに置いていきます。ストップウォッチで時間をはかっているので、少しでも早くと頑張って手を動かします。
3種類の作業を約20分間で終えた後は、支援者の施設職員さんと今日の内容を振り返りながら楽しくお話をします。例文をきっかけに、普段見ているテレビの話題や思い出話に花が咲いていました。
学習者の女性は、「私はこれがあるから元気にいられる。勉強はとても楽しいです。」とおっしゃっていました。
きょうと福祉パートナー事業からのコメント
とても楽しそうに生き生きと学習されている姿が印象的でした。学習療法の目的は学習者の認知症進行予防・改善ですが、施設側としては学習療法を通した施設職員のコミュニケーション力のアップも期待されるところです。スタッフ体制の確保など、施設にとっての課題はありますが、学習療法は施設ケアの向上につながる有力なツールです。きょうと福祉パートナー事業では、高齢者福祉施設での学習療法、社会福祉協議会での脳の健康教室の広がりを支援していきたいと考えています。